目のかすみと気持ち悪さ・頭痛と吐き気・両眼立体視

「相手の見地に立って物を考えなければ、人を本当に理解することはできない」

———アティカス・フィンチ
ハーバー・リー『アラバマ物語』より

 

『最近疲れが取れなくて、目もかすむんです。
さらにここ数日頭痛と気持ち悪い気分も出て、吐き気があるのに吐けない感覚なんです。』

疲れてるんですね。眼精疲労ですね。大変でしたね。と言い、全身ほぐして改善すれば良いのですが、すぐに症状が戻ってしまうという方が多くいらっしゃいます。

『何か根本的にずれている気がする、何が起こっているのか知りたい』そんな相談から今日ご紹介する症例の方は出会いました。

 

意外かと思うかもしれませんが、「身体は自分自身を繊細に捉えている」、と私は思っています。

もし、患者さんが表現していることがそのまま身体に起こっていることであれば、適切な検査によって明確になって表に出てきます。

 

目のかすみ、疲れが取れない、吐き気、頭痛、それらを一つ一つ患者さんのストーリーに当てはめて行きます。

猫背・お腹短縮・頭前方
猫背・お腹短縮・頭前方

こんな体勢で座っていたら元気なわけはありません。疲れが取れないのも普通ですし、頭が前方に倒れ込めば頭を支える頸の筋肉は緊張せざる終えません。

ここら辺は普通に整体院などでも言われることかと思います。

 

目のかすみが全身に与える影響、これはとても強いです。

今日ご紹介する神経学は「視覚の認知機能と全身の影響」です。

目から得る情報がほとんどである、と言われる様に目の影響は全体の認知機能を低下させてしまいます

両眼立体視」という両眼で見る能力が何かの理由で弱くなり、片目で物を認識し始めると、その人の視覚の中心は片側によります。

しかし身体の中心は変わらないために、身体の中心へと頭をずらしていきます。

本人が見ている世界に大きな変わりがないために、頭の位置がずれていることなどあまり気づきません。

 

両眼立体視の能力はない人もいます。
人間の目は左目と右目がそれほど離れておらず、捉える映像に差が少ないために両目で見なくともそれほど大きな違和感はないのです。

健常人でも両眼立体視ができていない人はたくさんいるほどに気づけません。

 

眼球運動の認知機能をテストする方法があり、当院ではそれを用いて身体の機能、例えば、肩の可動域や筋力が変化するかを比べることで、視覚と身体の機能の関連性を導きだします。

両眼立体視のリハビリテーションはとても疲れやすいので、どのようにすれば両眼立体視を取り戻せるのかは人によって異なるのですが、そのヒントはその人の身体にきちんと書かれています。

両眼立体視 リハビリ紹介
両眼立体視 リハビリ紹介

参考図書

視覚はよみがえる 三次元のクオリア (筑摩選書)
スーザン・バリー
筑摩書房
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今回の場合、スマートフォンを右手で持ち、頭はそのままで右の方を見る様に眼球運動だけを右に寄せて操作していたのがわかりました。

つまり頸から右を見るのではなく、目だけを動かしているため、頸を右に動かせる様にすることが最初の治療計画になりました。

このように何かを注視する時には「頭を向けるhead field」と「目を向けるeye field」というのが存在しています。

そして眼球運動を検査すると、左目の右への動き、右目の左への動きが低下していることがわかり、眼球の運動と共に頸椎の治療を行いました。

眼球運動検査
眼球運動検査

参考図書:

ベッドサイドの神経の診かた 改訂17版
田崎 義昭 斎藤 佳雄 坂井 文彦
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身体の内部モデルの異常形成について記載したブログはこちら

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不妊治療 足のむくみ 東京都にしむら治療院

今回の症例は、不妊治療の目的で当院へ通院され、症状として腰痛と座骨神経痛、足のむくみを主症状を患っていた方です。

症状の改善とともに、本来の目的であるご懐妊・出産まで至り、とても素晴らしい経験をさせていただきました。

患者様に感謝申し上げます。ありがとうございます。

 

腰痛を機に来院された患者さんの多くに、足の症状を随伴している場合がとても多いです。

それは「足の痺れ」のように直接関係がわかるようなものもあれば、「足のむくみ」や「こむら返り」といった一見関係がないように思えるものまであります。

これまでに腰の治療で改善した足の症状は

外反母趾
足底腱膜炎
こむら返り
足のむくみ
膝の痛み
股関節の痛み
足の痺れ
足関節炎
捻挫後の足の痛み

など様々です。

足の症状の症例報告等はこちら

その考えられる理由として、腰から出る下肢への神経支配が考えられます。

 

さて不妊治療についても触れて行きます。

近年、子宮においての神経性調節機構の研究が盛んになってきました。

子宮に分布する神経は腰髄と仙髄から 出て大部分が骨盤神経節を経由し、子宮頸部に網 の目のように広がりさらに子宮全体に分布します。

子宮の神経支配
子宮の神経支配

参考図書:ネッター解剖学アトラス

ネッター解剖学アトラス 原書第5版
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子宮の状態がどうなっているのかは、私では検査することはできません。

しかし、足の神経系の機能が改善しているかどうかは把握できます。

つまり足の神経系の機能検査によって、子宮に向かう神経系の機能の状態の予測はできるのです。

当院での不妊治療はこういった関連神経の機能検査によって状態を診て行きます。

ですので、当院では不妊治療に用いるツボを闇雲に刺激することは行いません

 

症例:30代女性

腰痛(右だったり左だったり)右足の座骨神経痛(たまに左側も)・両側の足のむくみ・頸肩のこりの症状があり、

婦人科にて、不妊治療(子宮内膜症の改善を主に行い、その後人工授精)中。

人工授精に合わせて当院に通院し始めました。

 

下肢の神経系の機能を診るために反射テストや神経のストレッチテスト法を行います。

SLR検査

両足ともに坐骨神経の牽引テストでは通常の1/3程度の機能でした。

アキレス腱の反射は強く、足首はだいぶ動きが制限されていました。

これではむくみを返すだけの足の筋肉が作用しません

むくみを取るには下肢の機能改善が必須です。

距腿関節
距腿関節・アキレス腱反射

本人曰く、ヒールの生活が長かったからだと仰っていましたが、腰の治療にてだいぶ柔らかくなったので、腰の影響だったと後で確認できました。

 

子宮への神経支配とも関係のある、仙骨・腸骨・腰椎との可動性をチェックし、下肢の機能がどれくらい変化するかを見てみます。

仙腸関節 側臥位
仙腸関節 側臥位
仙骨のモビリゼーション
仙骨のモビリゼーション
仙骨の上方への可動性
仙骨の上方への可動性

これらの治療で坐骨神経症状や下肢の神経伸張テスト、腱反射テストがだいぶ改善します。

先ほどお話しした様に、これらの変化は子宮に向かう神経系の改善にも繋がることが予測できます。

 

不妊に悩む患者さんの多くは、下肢の症状を抱えているにもかかわらず、それらが骨盤内の状態にも影響していることに気づいていません。

身体の声を聞き方を学ぶことで、少しでも改善へと向かう手助けができればと思っています。

東京都港区芝5-27-5山田ビル503

03-6435-2437 nishimura@hari.space

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西村 公典

 

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背部の治療 内臓の問題・頸部腰部の代償 東京都にしむら治療院

今日は腹部の膨満感と胃痛に対する症例報告をしたいと思います。

 

先日、日本カイロプラクティック徒手医学会会長の中川貴雄先生のセミナーにお手伝いも含め参加してきました。

中川先生の推奨されているモーション・パルペーションやモビリゼーション、マイクロ牽引法は、とても紳士的で優しい施術方法です。

高齢者であっても、痛みに過敏な方でも受けることができる治療方法です。

 

セミナーのテーマは「背部痛を治す」

背部(胸椎・肋骨)の施術に対する意義は、が大きく分けて二つあります

1:腹部に対する治療

2:頸部・腰部の症状に対する治療の補助

 

内臓は痛みを感じにくい組織であるのに胃痛や腹痛があるのには、内臓の支配神経である胸椎の過敏な状態であることも考えられます。

 

胸椎は肋骨によって頸部や腰部よりも安定しているため、症状があまり出まえせん。

しかし、もし胸椎に問題があると、不安定である腰部や頸部にストレスをかけることから胸部の治療はとても重要になってきます。

 

70代女性

左股関節の痛みを訴えて来院されたのですが、他に胃の膨満感と胃痛、便秘がありました。

左股関節は軽く尻餅をついてからか、足が重くなり、歩行しているうちに股関節に痛みが生じてきました。

骨折はなく、変形があるため、それが影響しているのだろうと整形外科で診断を受けています。

 

骨盤は左に傾斜していたため、尻餅では左に力が強くかかったことが予想できました。

腰椎は骨盤の傾斜にそって左側弯(左凸)

胸椎は右側弯(右凸)を呈しています。

仙骨の左傾斜、仙腸関節の離開
骨盤左傾斜、腰椎左側弯・胸椎右側弯

腹部を触診していくと、左の腸腰筋部は固まっており、深部だけでなく、表層から左腹部が緊張していました。

右側は軟弱。

腰椎は側弯によって腹部が軟弱になる側と、張る側に別れます

今回の様に左側弯の場合、凸側の左は張り、凹側の右は軟弱になるため、側弯の治療が必要であることが予想できました。

左股関節の外転・屈曲は可動域の制限が強いため、股関節の牽引を行い、股関節の可動性を改善させることにしました。

股関節のマイクロ牽引法
股関節のマイクロ牽引法

外転の可動域は改善しましたが、屈曲はまだ変わりません。

次に腰椎の側弯の治療です。

胸腰椎のモビリゼーション
胸腰椎のモビリゼーション

この時に、凸側の左腰椎にコンタクトすると、お腹がグルグルと動きだし、腰椎が腸の動きを制限していたことに気づきました。

腸はだいぶ動き膨満感はだいぶ軽減したのですが、まだ胃痛のようなキリキリとした痛みはあります。

胸椎の右側弯の部分に、左側が下に強く引っ張られている部分(Th9のあたり)がありました。

肋骨間も狭かったため、広げる様にモビリゼーションを試みると胃痛が軽減しました。

胸腰椎座位モビリゼーション
胸腰椎座位モビリゼーション(今回は腹臥位)

肋間神経痛に近いものが合併していたのでしょう。

 

ここで主訴である股関節の問題がどう変化したのかを再度検査すると、股関節の屈曲動作も改善し、歩行もスムーズになりました。

 

治療中にお腹が動き出すことはよくあり、意外と胸・腰部の機能障害が影響していたのだと気づくことが多々あります。

 

現病・既往歴に問題がある場合は注意が必要ですし、もちろん内科の受診は欠かせませんが、通院治療中の方でも、胸腰部の問題を解決することで緩和することもできます。

 

股関節・仙腸関節・運動連鎖についてはこちらに記載

足が重い・足が上がらないについてはこちら

太ももの外側のしびれ 足を引きづる 腹部の違和感

 

すこしでもお力になれれば幸いです。

相談等、気軽にご連絡ください。

東京都港区芝5-27-5山田ビル503

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西村 公典

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太ももの外側のしびれ 足を引きづる 腹部の違和感 東京都港区にしむら治療院

太ももの外側の痺れを訴えられている患者さんは多く、ひどい人はびっこをひくほどの方がいらっしゃいます。

起こりうる原因として考えられるのは

Ⅰ:から起こる神経痛(大腿神経)・関連痛(上部腰椎の椎間関節等)、

Ⅱ:腹部の筋肉の緊張による神経痛(外側大腿皮神経の絞扼)、

Ⅲ:鼠径部での絞扼による神経痛(外側大腿皮神経の絞扼)

Ⅳ:股関節の問題、

Ⅴ:仙腸関節の関連痛、

Ⅵ:小臀筋関連痛(トリガーポイント)

 

この中から検査と触診からその人の病態を把握していくのですが、問診と触診である程度予測できます。

そして複合的に関わってくるので、広い視野で治療を進めていくことが重要です。

 

50代女性:太ももの痺れと歩行障害についての症例をご紹介します。

 

数年前より、右太ももの外側に痺れが出現し、ひどい時にはびっこをひいてしまう。

びっこを引く程度になると、座っていたり寝ている時もうずくため、立っている方が楽だという。

腰痛の自覚はなく、自覚としてあるのは足の痺れと痛みである。

後で確認して分かったのは、右腹部に違和感があり、ひどいと痛みがあるという。内蔵起因のものかと不安だったが内科では問題なかった。

 

触診で確認すると

右骨盤から大腿骨の大転子にかけて緊張が強く、左側と比べると飛び出している様に感じる(大腿骨の外方変位)

大転子検査
大腿骨の外方変位

腸骨の前面に手を移すと、右の下腹部から大腿骨の前面まで非常に強い緊張があり、触れると右足の外側にもやもやっと関連痛が起こる。

これは鼠径部での大腿外側皮神経から起こる神経痛が考えられることが予想だれました。

鼠径部の絞扼神経障害 外側大腿皮神経
鼠径部の絞扼神経障害
外側大腿皮神経

骨盤の状態はというと、右が前傾が強いため、外側大腿皮神経をねじらせるようなストレスが存在する様に考えられました。

また右側の仙腸関節は開いており、可動性の亢進、つまり捻挫に近い状態であると考えられます。

仙腸関節のHyper mobility
仙腸関節のHyper mobility

仙腸関節のHyper Mobilityによる関連痛として大腿部への放散痛が挙げられます。

そのため今回も仙腸関節の治療も外側大腿皮神経へのアプローチと共に行いました。

 

股関節の可動性はどうかというと

外旋が全くできないという状態でした。

さらに屈曲での腹部の違和感の増悪が見られ、股関節の動きの改善も必要でした。

歩行障害が出た時はこの股関節の状態がさらに悪かった時と思われます。

股関節の外旋
例:右股関節が開かない
股関節の屈曲
この時に腹部に違和感があった

 

外側大腿皮神経の起始部である上部腰椎はというと、腸骨の前方に引っ張られる様に右骨盤が前に引っ張られ、そのスタート地点が上部腰椎でした。

つまり上部腰椎から右前方へと引っ張られ、そのため大腿神経の圧迫の加わっているようです。

 

すべての状態が把握してやっと症状の改善が見られ始めました。

長い経過患っている方の場合は、一つの病態によって起こる症状ではなく、複数の問題が絡み合っていることがほとんどです。

そのため治療は難しいですが、きちんと状態を把握すれば良くなるため、患者さんと共に問題把握に勤めることが重要です。

下肢の痛みや痺れにお困りの方の助けになれれば幸いです。

 

西村 公典

東京都港区芝5-27-5山田ビル503

03-6435-2437 nishimura@hari.space

にしむら治療院ホームページ

 

 

本の紹介

解剖学のお勧めはネッターですが、視点が違うためいくつかの解剖学書を持つことをお勧めします。

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生理不順 母指CM関節症 東京都港区 西村治療院

たとえ、手の痛みで来院されたとしても、その痛みを取り除くために全身の症状を問診することは必須です。

 

今回は40代の女性で、右手の母指のCM関節症を主訴として来院され、結果生理不順や腰痛も緩解した患者様をご紹介致します。

 

看護師の業務で患者さんの介護による手の負担や、シリンジに薬液を入れる動作によって手の痛みが出現し、患部にステロイド注射を試みるも一年以上痛みが消えませんでした。

 

まず患部に注射を行っても効果が少ないというのは他に原因があるよ、という体のサインです。

全身を見なくてはなりません。

 

手の関節の可動域と肩の関節の可動域から

手のひらを下に向けた動作で体に緊張が起こることがわかりました。

体を左に傾け右肩を挙げる癖が起こり、右の頸神経(腕、手を支配)を圧迫させているようです。

座っている時は右のお尻に乗る様に、体が右側にスライドしています。

 

まず仙骨の治療によって体幹に軸を作っていきました。

仙骨モビリゼーション写真は左側の仙骨の治療の例

そしてお腹側から股関節に付着する腸腰筋を牽引法によって弛緩していきます

股関節牽引

そうするとだいぶお尻の中央に体重が乗れる様になってきました。

そして頸部の治療に移ります

頸部 検査

その時点から手の痛みは消失しました。

しかし肩・肘・手の関節の緊張も取っておかなければ、またすぐに再発しやすい状態にあります。

手根骨 

母指CM

このようにして手の治療を行うために全身の状態を変化させたのですが、その後から生理不順も一緒に治ったと喜びの連絡を頂きました。

 

体は一つで繋がっていると感じられる体験でした。

身体の不調でお困りの方のお力になれれば幸いです。

にしむら治療院ホームページ

メール・お電話お気軽にご相談ください。

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