手の痺れ・腱鞘炎・手が動かない・手のこわばり

足の異常で来院される方と同様に多いのが、手の障害で来られる方です。
足を痛めて歩けなくなるといった具合に、手も障害が出ると物が持てない、ペットボトルのキャップが開けられないといった日常動作に何かと不便が出てきます。
以前にも手が焼けるように痛いといった症状に対してのブログを掲載しましたが、今回は手のこわばりを訴えて来られた方の症例についてお話しします。
何度も話に出していますが、手の神経は首から出て、鎖骨の下、肋骨の上を通って各神経枝を出して肘を前後左右へと分岐して手まで向かいます。
ですので、手の先の障害が出た場合、真っ先に疑うのは「頚椎」「鎖骨と肋骨」「肩」「肘」「手首」というように神経の経路のどこかが問題が起きても手の先に症状は起こりうるのです。
ただ、頚椎の場合は、首が悪いからと言っても腰と背中の影響によって頚椎に支障を期待している場合は多く、結局のところ全身を治療しなければなりません。
さて今回は、そんな頚椎の問題が肋骨の機能異常によって起こった例をご紹介します。
40代女性、左手の腱鞘炎から始まり、続いて右手の腱鞘炎が起こってきました。
彈発現象(バネ指)は最初起こっていたものの、経過とともに手のこわばりとして変化していきました。
来院時バネ現象は起きず、指が曲がらず、伸びることにも多少の制限がありました。
指の解剖図
手の腱鞘
念のため、リウマチの検査も行いましたが、幸い陰性で腱鞘炎の治療を継続して様子みましょうとなっていましたが経過は変わらず、当院へと来院されました。
手のこわばりは最初から症状のある左手の方が強く、右手は深くは指が曲がらないものの、指が手のひらに触れられる程度でした。
一方左手の中指と薬指は曲げても手の平につかず宙に浮いてしまいます。
グーパーグーパーと離握手運動を素早く行ってもらうと、左手は遅れてしまい、すぐに腕全体がだるくなるというものでした。
この離握手運動はルーズテストと呼ばれる胸郭出口症候群の検査と似ているもので、腕全体がだるくなるという表現もまさしく胸郭出口症候群の症状と似ています。
つまり斜角筋・鎖骨・肋骨・小胸筋のポイントで一つ改善できるポイントがありそうです。
実際に触診してみると、
左の第1肋骨、第2肋骨は下がり、第7頚椎は下の第1胸椎に比べて右に傾いています。
第8頸神経であれば過度のストレッチによる障害、第1胸神経であれば圧迫神経障害というところでしょうか。
椎骨の関節の動きを検査(モーション・パルペーション)すると第1肋骨<第7頚椎<第6頚椎の順に硬さが強くなっていました。
鎖骨はというと肋骨に比べて左右の差は少なく、肩甲骨を含めて上肢帯によって、歪みを補正しているようです。
rib hight
右の第一肋骨は上に上がっており、下に押さえながら、右手を動かしてもらうと右手に関しては自由に動くようになりました。
同様に左側の下がっている肋骨を上へ押圧をかけて左手を動かしてもらったら、こちらはまだ変化が出ません。
二次的に頚椎が歪んでいる場合はこういうことがたまにあります。
第1、2肋骨のように下方変位している部分を探してみると、仙骨及び骨盤が左下方変位、胸腰部移行部の左下方変位、肩甲骨下端部の左下方変位。
それらを一度治療をした後に、再度肋骨の左側を上方へと押圧しながら左手の検査をするとだいぶ左手の指が曲がりやすくなりました。
手根骨の矯正や指の関節の治療を含めて4回で指が手の平に触れられるようにまでなりました。
たまにまたこわばることもありますが、経過良く過ごされているようです。
手の痛みやこわばりで苦悩している人のお力になれれば幸いです。
今回は幸いにもリウマチではありませんでしたが、リウマチの場合も同様の治療計画で痛みはだいぶ取れてきます。
無理のない治療で寛解することができれば幸いです。

東京都港区芝5-27-5山田ビル503
にしむら治療院 西村 公典
ホームページリンク
03-6435-2437

Share This:

舌が偏る 舌下神経麻痺 舌癖の治療 東京都にしむら治療院

ここ最近、何かの運動遂行機能の障害の患者さんが多数来院されています。
「足が動かない」
「手が動かない」
「手を口元に持っていくと震える」
「足が痙攣する」
がこれまでよく相談されていたものでした。
ほとんどが神経系のトラブルによる運動機能の障害だったので、大体の方が治るもしくは良くなっていきました。
今回新たに「舌が偏る、うまく動かない」といった舌下神経麻痺用の症状を来した方の変化が出ましたので勉強を兼ねて考察をしていきたいと思います。
体幹の筋肉が縮まると、その方向へと体は傾きねじれます。
力こぶが収縮すると肘は曲がり、太ももの前の筋肉が収縮すれば、膝が伸びます。
しかし、筋肉で構成される舌は収縮すれば伸びるという性質があるため、機能障害が起こった時には舌は患側へとよる傾向があります。そんな特異な性質のある舌の障害について、症例を元に考えていきたいと思います。

舌の麻痺が幼い頃からあり、構音障害(発音の障害)を来している。

口をすぼめることが難しいのと、下を突き出すと左に偏ってしまう。
病院では、舌の奥が麻痺しているとの診断で、脳深部刺激療法を行いましたが、舌が偏るのは逆に強くなっていましました。
もともと脳に特に目立った異常がなかったため、治療は中止し、現在に至る。
先天的な右半身の麻痺が少しあるのが影響しているのかもしれませんが、今回施術にあたって「空間認識」も踏まえて治療にあたりました。
頚椎は右屈しているため下顎は右にスライドしており、右の顎関節は緊張が強く、口を開けると下顎は右に寄ってしまいます。
「下顎は右に、舌は左に偏ってしまう」
こういった現象が関連あるのであれば、顎関節に対する治療と変わりませんので、私の対応範囲であることがわかります。
temporomandibular joint mobility
実際に頚椎を安定させ、下顎の調整を行うと舌はまっすぐ伸び出し、口すぼめもしやすくなりました。
舌の動きは舌下神経によって支配されています。
舌下神経が麻痺すると、舌は患側に曲がるのです。
つまり今回の左偏るのは左側の舌下神経の機能障害であることはわかります。
実際に脳深部刺激の電極は左の脳にありました。
もし舌下神経の機能障害が、脳による問題ではなく、顎関節の機能の障害によって起こっているものだとしたら・・・。
そもそも舌は下顎に付着してるものですので、下顎が偏れば、下顎に付着する舌が示すまっすぐと、身体の中心からの真っ直ぐは違ったものとなってしまいます。
「めまい」という症状があるように、舌も前後左右を混同することがあるのかもしれません。
今回の方と同様の「舌の機能障害」を患う他の患者さんにも対応できるかわかりませんが、変わる人もいるということも経験することができました。
今後も良い変化が続くことを祈りつつ、精進を続けたいと思います。
今回ご縁をいただきました、お医者様にも感謝申し上げます。いつもありがとうございます。
今回の経験を歯科医師の先生と議論した際に、「舌癖」というものが矯正歯科分野で盛んになってきている話を教えていただきました。
舌の筋機能障害に対するトレーニングです。
とても良いトレーニングでしたので舌のトラブルを抱える方にご紹介をしていきたいと思います。
歯科医師の先生にもこの場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。

東京都港区芝5-27-5山田ビル503

にしむら治療院 西村 公典

ホームページリンク

03-6435-2437

Share This:

手が動かない(巧緻障害) 膝の人工関節と運動連鎖の視点から 西村治療院

最近は「手が動かない」、「足が動かない」、という痛み以外に運動障害を伴う患者さんが多く来院されています。

手の場合は首から始まる頚神経、足の場合は腰から始まる腰神経が関与しています。

では「手が動かない」=「首を治せば良い」となりますが、それだけでは治らない人が多いのはなぜでしょうか?

今日は、膝の手術後に起こった患者さんの例からご説明したいと思います。

3d Illustration of Men Feeling the Wrist Pain

膝が痛い人のように、立っているとき、片膝だけ曲げるとどうなるでしょう?

knee injury in humans .knee pain,joint pains people medical, mono tone highlight at knee

身体は傾き、肩は下がりますよね。

では逆に曲がっていた膝が急に伸びる様になったらどうでしょう?

今度は下から突き上げるような力を受けることになります。

運動連鎖

この突き上げる力が「腰の圧迫」「首の圧迫」に繋がり、神経痛や運動障害へと広がって行きます。

膝の手術によって、今まで膝を曲げているのが急に伸びることは、必ずしもその方に取って良い方向に進むとは限らないのです。

そういった方の治療は、膝が伸びることによって下から突き上げる力を股関節や骨盤、背骨の関節で緩衝できていない場所を探すことが重要です。

今回の患者さんは、仙骨と呼ばれる背骨の一番下の骨が傾いていることによって、膝が手術によって治った際の足が伸びる力を鑑賞できなかったことが大きな原因となっていました。

杖をついての歩行が手に負担かけていたこともあったので、手の関節や肘の関節の治療を行うのももちろん大切です。

手関節橈屈尺屈

怪我による身体の変化がいろんな症状を起こして行く様に、手術による良い変化も同様の理由で症状を巻き起こして行くことが在ることは、医療関係者みんなが念頭に置かなくてはならないことかもしれません。

手の障害や足の障害にお困りの方のお力になれれば幸いです。

東京都港区芝5-27-5山田ビル503

にしむら治療院 西村 公典

ホームページリンク

03-6435-2437

Share This:

顎関節症 口が開かない 噛むと顎が痛い 東京都港区にしむら治療院

寒くなってきたことと何か関係があるのでしょうか。

「顎が痛む」、「口が開かない」と言った症状の方が増えてきました。

寒くなってきたから増えたのかと思い気や、それらは半年、長い方では数年間もその状態であるという方々なので季節は関係なさそうです。

Close-up of a young woman holding the side of her face in pain
Close-up of a young woman holding the side of her face in pain

 

顎の痛みは意外と良くなります。

と言っても、人によってポイントが異なるため、それを見つけるまではとても難しい症状です。

顎関節症の治療の仕方について紹介します。症例も紹介致します。

 

顎関節を構成する骨の一部である下顎骨は宙に浮いており、筋肉によって支えている構造をしています。

宙に浮いている」ということは頭が傾いていると、下顎骨はそれに伴ってある方向へと引っ張られてしまします。

顎が痛い人は、普段頭が傾いてしまうくせがある場合があります。

もしくは身体が傾いていて、首や顎が、どちらかの方の方へと引っ張られている可能性があります。

temporomandibular joint
temporomandibular joint

 

もう一つよくある原因は頸椎の安定性です。

頭の傾きはさほどはないにしても、頸椎が回旋していたり、前方に移動していたり、傾いていると、首から顎へと伸びている筋肉は左右同時に働くことができなくなります。

するとガクッガクッと左右バラバラに顎が動きます。

顎のクリック音もこういったことが原因のため、首の可動性を検査しながら、顎を開閉してもらうと、問題点を支えた瞬間に顎が開きやすくなります

temporomandibular joint mobility
temporomandibular joint mobility

これは顎関節の運動の軸を表しています。頸椎の不安定や、頭の傾斜によって、スムーズの運動は失われ、ある運動軸の動きが制限されてしまいます。

顎関節の治療よりも先に、全身の動きを改善していくことでまず、顎がきれいに動くための土台を気づかなくてはなりません。

電車で例えるなら、レールが曲がっていて、電車は脱線し続けている状態、それが顎関節症です。

 

女性、歌手として仕事していますが、この半年間顎の痛み(左>右)が治まらず、指二本分しか口を開けることができなくなりました。

歯の治療を行ってみるが、改善せず、歯の治療のために口を開けることすらできなくなったため、紹介されて当院へ来院される運びとなりました。

 

顎関節以外の問題として、永年の肩こり(左>右)があり、腰痛も(左>右)ありました。

昔には左腰から足にかけて痺れる座骨神経痛も経験し、今も動けないことはないが辛いという状態。

 

顎の痛みは
開口3cmで痛み(左>右)強く噛み締めるのも痛みが出る(左>右)
クリック音は左右ともあるが、骨がこすれるような軋轢音・圧雪音はない。

半月板損傷の損傷はあってもごく僅かであることが予想できました。

 

頭は水平ですが、肩は左が極端に下がり、肩の可動域も左肩は外転90°、右肩105°と左の可動域は少ない。

腕を上げて行くと、腕に痺れも感じ、長く挙げていられない(胸郭出口症候群様な症状)もある。

腰は座骨神経伸張テストSLRでは左20°、右30°と痺れにまでは至らないが、すぐに太もも裏が張ってしまう。

たまにふくらはぎがつるということなので、だいぶ座骨神経の緊張は強うそうだった。

 

左肩が下がっているのは左の腰部の緊張からであることが予想できたので、問題である左の仙腸関節と腰部の圧迫をゆるめ、左肩を下げている緊張を緩めることから始めました。

下肢の可動域も改善し、まだ開口は3cmでしたが、顎の痛みは落ち着きます。

 

続いて、頸椎への治療に移り、左が前方へと変位している頸椎を緩めて回旋への可動域を取り戻して行きます。

第三頸椎の左側が前に張り出していて、頚前筋の緊張による、下顎と頸椎の間が狭いことも顎関節に影響をしているようでした。

 

  • 腰部の緊張による頸椎への下方への牽引力の改善
  • 頸椎の前方変位による下顎骨の機能低下、

これらの結果、下顎骨に左右同時に動くことの制限をかけ、結果顎関節症になっていたと思われます。

 

直後効果もありましたが、腰部の問題は根強く残っており3回ほど通常の開口ができるまで施術が必要でした。

 

頭の傾きがある方や顎関節の軟骨の摩耗があるなしなどによって、治る時間は様々ですが、顎の痛みで苦悩している方の助けになれれば幸いです。

 

にしむら治療院 西村 公典

東京都港区芝5-27-5山田ビル503

03-6435-2437 nishimura@hari.space

にしむら治療院ホームページ

 

Share This:

手が痺れる 手が動かない 多様な手の障害 東京都港区 田町・三田 西村治療院

しびれの症状に対しての患者さんの表現方法の多様性の話はしていますが、今回も改めて実感する臨床体験でしたので、ブログにまとめて行きたいと思います。

言語学 患者さんの表現について記載した過去のブログ

「手の痺れ」「手が動かない」「腕全体が重い」「指先に触れるとチリチリする」

こういった症状の患者さんが診られ、3回ほどで治すことができましたが、この三回にわたる治療経験は、再度患者さんの表現に助けられていると言わざる終えません。

身体の理解について前進させていただきありがとうございました。

 

まず症例を先に述べて、それから認知心理学との関わりを説明したいと思います。

今日の心理学のキーワードは「クオリア」「ラディカル構成主義

 

40代の女性、今朝からギックリ腰様の腰痛(左>右)があり来院されました。
しかし、一週間前から腕が重だるく、その後指先は痺れ、今朝から手が動かないという症状(左)。

趣味:バレエ・ヨガ どちらも健康のために行っている程度

仕事:普段は立ち仕事で手もよく動かす

腰の痛みは今朝起きてから起き上がろうとすると痛みが強く、屈む動作、寝返りの動作が辛い。一週間前から様子はおかしかったが、ヨガをやっているうちに落ち着くと思いそのまま様子を見たが、今朝になって急に痛みが強くなった。

手の痺れは最初は腕全体から始まり、ビリビリとするのは指先だけ、手は指を挟む動きと手首を上に曲げるのができない。

 

整形外科では腰は慢性腰痛と数日前に診断。手の痺れは手根管症候群だろうと湿布と薬を処方される。

以前から紹介され当院に、ぎっくり腰を機に来院。

 

この場合、現代医療には限界があります。腰の痛みと手の痺れの関連を細かく見ることができません。

経験的に、そして問診から同時期に発生しているこの症状は何かしら影響し合っていることが予測できましたので、腰の治療が手にどれくらい影響があるかを検査してみました。

 

可動域検査

肩関節
屈曲:左90° 右120°  外転:左80° 右120°

股関節
SLR:左20° 右30°  屈曲:左80° 右100°
外転:左10° 右30°  内転:左15° 右15°

肘関節
屈曲:左130° 右125° (左手の方が動きは重い)
伸展:左5°  右5°
回内:左40° 右35°
回外:左40° 右45°

手関節
背屈:左5° 右60°
底屈:左70° 右70°
尺屈:左10° 右30°
撓屈:左5° 右15°

手の整形外科テスト

ファーレンテスト擬陽性(持続的に痺れがあるのと可動制限により痛みの増加有)

フローマン陽性

チネルサイン擬陽性(手根管については陰性。肘部管と橈骨神経のラインは触るとサワサワと広がる違和感がある)

筋力テストは、手関節背屈・虫様筋の筋力低下

正中神経の障害である手根管はあるかもしれないが、今現在、尺骨神経(虫様筋・フローマン)橈骨神経(手関節背屈)に異常がでていることから、もっと上位の例えば、首や肩の問題が考えられます。

整形外科によっては頸椎の問題と片付けるところも多いかと思います。

しかし、たしかに頸椎など上位の問題があるにしても、障害を受けている神経の部分は異なるため、肘や手の部分の影響で、障害を受けている神経が違うと予想できました。

 

そこで再度問診で得た情報を振り返ります。

手の痺れの感覚は「腕全体に重い」「指先がちりちりする」「手が上に反らない」「指と指を挟む動きができない(髪を正すような仕草で必要)」

腕全体が重い
→これは神経障害のため、頸椎の問題から改善する必要がある。
肩の可動域の改善が認められれば、恐らく緩解する問題

指先がちりちりする
正中神経の領域だが、手関節の機能制限で付随する症状に近いイメージがある。(実際に手首が背屈できる様になった後に緩解)

手が上に反らない
→橈骨神経の問題であるが、同時に手関節事態にも問題が合った。
(朝起きた時に手が変なところに合っておかしかった、という情報も説明している中ででてきたので、恐らく、神経障害と関節の機能障害とが合併している状態)

指と指を挟むことができない
→フローマン徴候と同様なので、尺骨神経が疑われます。しかし、手関節を親指方向に曲げる撓屈と、小指の方に曲げる尺屈という動きもできなかったので、これも神経障害と関節の機能障害との混合

 

問診と機能障害とが一致したところで。上肢の機能制限がでた関節の動きを調整して行きます。

関節の調整の治療方法

 

さて頸椎の問題に戻ります。

頸椎というのは体幹の土台の上に乗っている存在です。

土台が傾けば頸椎は歪むのは当たり前です。

今回の症例に当てはめると、腰の痛みと同時期に神経症状がでていることからも、腰と首の関連を考えるのは必須です。

全体を見渡すと、患側の左の腰に骨盤が傾いており、胸椎(背中の背骨)の下部も左に傾く様にカーブ(右凸)しており、その分だけ、首の付け根の部分から右にカーブ(左凸)になっています。

治療前に、まず腰の骨盤の傾きを補正すると左肩の可動域がほぼ正常にまで改善したので、腰が治ると、神経痛がだいぶ治まることが予測できました。

 

ここまで最初の段階で予測ができると、早く治せるので
腰→首→肘・手
という順序で治療すれば良くなることがわかります。

各関節の治療方法については今日は説明せずに、認知心理学の「クオリア」と「ラディカル構成主義」に触れたいと思います

 

「クオリア」
色の質感でよく表現される言葉で、「赤いリンゴ」を見てもその赤は見る人によって千差万別です。その一人一人が感じている赤の質感をクオリアと言います。

痛みも同じです。

『腕が重くて上がらない状態』
これを「痺れた」と表現する人もいれば、「腕が上がらないんです」とだけ表現する人もいます。
人に動かされた時にやっと重いということを認識することもあります。

『チリチリする』
これを「火傷したみたい」「小さな針でつつかれているみたい」「痺れた」と表現する人など様々です。

『力が入らない』
これを「人の手みたい」「手の先がないみたい」「痺れた」とよく日常的に患者さんからの表現を聞きます。

それぞれ異なる状態でも「痺れた」と同じ表現されるのです。

痺れという言葉に対する質感というのは本当に様々です。

 

そしてこの現象を医療従事者が患者さんに対しての表現を客観視する時にも言えることで、
外部客観世界のありさまを人間の認知活動は直接見いだすことはできないように、
医療従事者の内部にある世界のイメージで構成してしまいます。

今回は結果的に、私の内部イメージが患者さんの状態と近いために良くすることができましたが、もし治療が上手く以下なった場合は、もう一度患者さんの感覚を聴取し、評価と治療計画の変更をしなければなりません。

大切のなのは、治療してみた結果を自分の世界イメージに適応させることです。

うまくいけばそれでよし、失敗すれば、概念構造を変えること。

こういったことを唱えた心理学が、ラディカル構成主義と言われています。

 

長らくお読みいただきありがとうございました。

手の痺れや痛みで苦悩する方のお力に少しでもなれれば幸いです。

西村公典

東京都港区芝5-27-5山田ビル503

03-6435-2437 nishimura@hari.space

にしむら治療院ホームページ

西村 公典

Share This:

足が重くて自分の足ではないみたい 足の痺れと身体所有感 東京都西村治療院

足や手の痺れを患っている方の中にはこのような表現をされる患者さんがいらっしゃいます。

「自分の足じゃないみたい」

「感覚がなくて人の手がぶら下がっているみたい」

 

『身体内感』がこれらの表現に関与していることは以前にも学びました。
身体内感が起こす足の痺れ
「足の痺れ・足が重い」感覚・運動障害を哲学する
身体の内部モデルについて

今までにも同様の感覚については勉強してきましたが、今回はまた新たな概念である「身体所有感 sense of self-ownership 自己保持感」から「足や手の痺れ」について考えてみたいと思います。

身体所有感とは、その名の通り、身体が自己のものであるという認識のことです。

一つ実験をご紹介します。
自分の手を見えない状態にして、安静状態を保たせます。
そして、本来の手が存在している位置にマネキンの手のような模擬手を設置します。
その模擬手に対して、実際の手の動きと同様の動作を行うと、模擬手が自分の手の様に錯覚を起こします。
ついでにその模擬手に突然ペンで指すような動作を見せると、避けようとします。
自分の手である様に感じているからです。
この実験をrubber hand illusionといいます。

体性感覚入力と視覚情報とが一致すると、自己身体の一部であるかの様に錯覚する現象は身体所有感の一例として有名です。

切断された、存在しないはずの手や足に痛みを感じるような幻肢痛ミラー療法という治療法がなされますが、これも身体所有感を利用した治療法です。

 

さて、再度患者さんの訴えについて考えてみましょう。

「足が重くて、自分の足ではない感覚」
「手が痺れて他人の手みたいに見える」

この表現は今までの話の様に、身体所有感の異常を来していることは容易に予想できます。

 

では身体所有感とは何が関与しているのかを知る必要があります。
それがわかれば、どういったことを治せば良いのかがわかりますよね。

それは
四肢末梢から感覚入力されている状況と、視覚情報が一致することです。
rubber hand illusion として有名ですので一度調べてみてください。

四肢末梢感覚に問題がある、つまり痺れを起こしている場合は、身体所有感に問題が起こり「自分の手ではない」という感覚が起こります

 

実は同様の感覚がもう一つ存在しており、それも「自分の足ではない」という感覚を引き起こす原因となります。

それが「自己主体感 sense of self-agency 運動主体感」です。

これは行為を自分自身で行っているという感覚です。

 

以前から話題に出している「内部モデル」「身体イメージ」というのと同様の意図として使われる言葉です。

以前に記載した身体内感・内部モデルについて

足の痺れと身体内感

感覚・運動障害を哲学する

身体内部モデルの異常形成による「めまい」

 

行為の実行による順モデルによる感覚結果の予測と自己受容感覚や視覚フィードバックなどの求心性情報が照合され、この段階で特に情報間の不一致が検出されなければ、自分が行為主体だと感じられる。

難しく書かれていますが、他人にくすぐられるとくすぐったいが、自分でくすぐっても何とも思わないのは、予測できる感覚であるというところにあります。

他の説もありますが、それについては今回は言及しません。

 

大切なのは、自己受容感覚という言葉にあります。

これは身体内感と同様で、自己を受容する感覚を言い、すなわち運動感覚である筋収縮の感覚を指します。

これは以前にも運動内感のところで述べた、筋収縮を調整する筋紡錘が関与します。

つまりは筋紡錘の異常は自己受容感覚(身体内感)に影響を与え、よって自己主体感を失わせる結果となります。

これが、「他人の手」であり「自分の足ではない」という感覚になるのです。

 

筋紡錘の異常はどのようにして検査できるかというと、一つは神経学的筋力テストによって我々でも検査できます。

筋機能評価法―ビジュアルで学ぶ触診・ストレッチ・筋力テスト
栗原 修
医道の日本社
売り上げランキング: 404,561

足の痺れや手の痺れによって、表現される非自己化する身体は特別なものではありません。

なかなか痺れというのは主観的な感覚の異常のために、理解されずに困っている方はたくさんいらっしゃいます。
すこしでも力になれることがあれば幸いです。

にしむら治療院 西村 公典

東京都港区芝5-27-5山田ビル503

03-6435-2437 nishimura@hari.space

にしむら治療院ホームページ

 

 
参考図書

メタモルフォーゼ

メタモルフォーゼ

posted with amazlet at 16.02.11
河本英夫
株式会社 青土社 (2012-10-10)
売り上げランキング: 491,065
オートポイエーシス―第三世代システム
河本 英夫
青土社
売り上げランキング: 68,064
哲学、脳を揺さぶる オートポイエーシスの練習問題
河本 英夫
日経BP社
売り上げランキング: 360,109

 

Share This: